2012年1月16日月曜日

由佳の本棚(1月)











   
【米澤穂信 著/折れた竜骨】
ファンタジーが苦手な私が夢中になりました!!
主人公は、北海に浮かぶソロン諸島の領主の娘・アミーナ。
ソロン諸島は、貿易で財をなし、地理的条件から敵が攻撃できない恵まれた島です。
ある日、ソロン諸島に、領主の命が狙われていることを伝えるため騎士と従士が訪れます。
忠告したものの、領主は殺されてしまいます。
突然ですが・・・ファンタジーなので魔術が出てきます。
魔術が使われるからといって、謎解きがずさんになることはありません。
魔術が使われるからこそ、話の展開が楽しめるんです。
騎士の推理と、アミーナの勇気が素晴らしい!!













【吉野源三郎 著/君たちはどう生きるか】
主人公は、本田潤一くん。通称コぺルくんです。
背の低いことが悩みですが、勉強も運動もできて、いたずらが大好きな、旧制中学1年生です。
病気で父親を亡くしてからは、叔父さんが、精神面でコペルくんを支えます。
コペルくんは、乱暴者だと思っていたクラスメートが、正義感の強い人だと知ったり、授業中ぼーっとしているクラスメートが、朝早くから家の仕事を手伝う心の優しい少年だと知ったり、友人との約束を守れなかったことを悔やんだりと、学校生活の中で様々な経験をします。
それらのコぺルくんの話を聞いて、叔父さんは、自分が感じたことをノートに書きます。
将来、コペルくんに、そのノートを見せるためです。
そこには、人として私たちがどうすればいいのか、どう考えていいのかが書かれています。
ゆっくり繰り返して読みたい作品です。













 【高野和明 著/ジェノサイド】
ジェノサイドとは「大量虐殺」のこと。
舞台は、ジェノサイドが行われている内戦下のコンゴ民主共和国。
主人公の一人、傭兵のイエーガーは、不治の病に冒された息子の高額な医療費を支払うため、詳細が知らされない任務を受けることを決めます。
この任務は、裏でアメリカ政府が操作していました。
もう一人の主人公は、研人。大学院で創薬の研究をしています。
コンゴで任務を遂行する傭兵と、日本人の大学院生がどう関わってくるのか。
ハリウッド映画を思わせるスケール感が展開していきます。
この本では、内戦下の国の住民たちが、どんな状況におかれているのか、少年兵たちが、どうして兵士になって、殺し、殺されていくのか・・・今まで知らなかった戦争のことが描かれています。
私たちには知るべきことが、まだ沢山あると思いました。













 【小川糸 著/あつあつを召し上がれ】
 何も食べられなくなったおばあちゃんのために、孫が一生懸命買いに行った「かき氷」、別れることが決まった二人が一緒に食べる「松茸料理」、死を目前にした母親が、幼い娘にたたきこんだ「お味噌汁」。
幸せな時はもちろん、辛い時も、料理と人間は切り離せないんだと気付きました。
小川さんの料理の描写が素晴らしく、「この料理はどこに行ったら食べられるんですか?」と、出版社に問い合わせたくなりますよ。
お腹がすいた時には読まないようにしましょう。