主人公、良嗣が、祖父の死をきっかけに、家族の過去に関心を持つようになり、紐解いていきます。
良嗣が祖母と中国をめぐる場面と、戦時中の祖父母が出会って、今に至るまでの物語が、交互に描かれています。
戦時中の話だと、戦争に行った人や、戦争で被害に遭った人が主人公になりますよね。
でも、この物語の、良嗣の祖父母は、戦争からひたすら逃げてる。
そういった過去から、満州からの引き上げ、学生運動やあさま山荘事件、バブル、地下鉄サリン事件やバスジャックなど、実際に起きたことを織り交ぜながら、家族がどう過ごしていったのか描いています。
いろんな場所で、いろんな人が戦争によって人生を翻弄され、それが決して、その人たちの問題だけではなくて、現在にもつながっていることに気付かせてくれた作品です。
是非読んで!!!
第30回 横溝正史ミステリ大賞受賞作品です。
舞台は近未来の東京。
中国バブルの崩壊に端を発した第二次世界恐慌で、
倒産や金融危機が起き、経済が立ち直れなくなり、失業者は増え、自殺者は増える一方。
エネルギー危機と食糧危機がもうそこまで来ている中、 マグニチュード7・5の東京湾北部地震が起きます。
その地震から4年たった東京を舞台に、主人公、元刑事で、今やくざの巽が、動物の気持ちが分かる黒人の少年に会って、物語は動き、その動きは、どんどん大きくなって、巽を飲み込んでいきます。
東京で地震が起きた後の物語だけど、今、私たちが解決しなければ問題もあって、それが上手に物語に組み込まれていました。
会場に集まった女性は、才能豊かな男性の精子を買い求めます。
夫のいない皆川厚子は、パンフレットから、クローバー113、長身痩躯の美男子で、超一流国立大学卒業、IQ180を超える天才数学者の精子を、75万円で落札します。
そして、落札した精子を人工授精させ、妊娠し、出産します。
二人目は、ノーベル化学賞受賞者の精子を200万円で落札。
愛らしく、頭の良い子どもに育つも、途中、成長が止まって、母親と兄からうとまれる存在になります。
その子の名前がキリン。本のタイトルです。
私は、平凡でいいから、健康で、人の気持ちを考えられる優しい子供に育ってほしいな~と思ったけど、結婚して子供が出来たら、そんな気持ちはなくなるのかなぁ・・・。
親の愛情を取り戻そうと頑張る、きりんの姿に、多くの子どもの姿が重なりました。
この本も、歪んでいます。女性必読!!!!
主人公は5人います。美のカリスマともてはやされる女優・條子、学術書の出版社に勤めている多岐江、キャバクラに勤める莉子、資産家令嬢の涼香、そして、美容外科医の晶世。
この5人が主人公になって、各章、物語はすすんでいきます。
みんな最初は、美しくなりたいと、ほんの少しだけ整形するんです。
それがどんどん、エスカレートして、最後は恐ろしいことになるんです。
女性の美への思いに、心が寒くなりました。
美容整形がいいとか悪いとかじゃなくて、何度も美容整形手術を受ける人は、心に何かを抱えているんだと思いました。
整形を考えているあなた、一度立ち止まってみて。
あなたが変えたいのは、本当に顔ですか?それとも自分自身ですか??
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この本も貸してもらいました。
読んだら競馬中継が見たくなって、競馬場に足を運びたくなります。
競馬の知識が乏しいので、なかなか状況が思い浮かべられなかったのが悔しかった!
犯人捜しや犯行理由よりも、競走馬に書ける人たちの思いに心を打たれました。
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