2010年4月12日月曜日

本屋大賞2010ノミネート作品

 

 
由佳の本棚は、新年度も毎月第2月曜日にお送りします。
今月は、2010年度本屋大賞ノミネート作品のご紹介。
本屋大賞とは、「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」をキャッチコピーに、2004年に設立された文学賞です。
2010年の本屋大賞ノミネート作品は・・・・村上春樹 著/1Q84、夏川草介 著/神様のカルテ、番組でご紹介した 三浦しをん著/神去なぁなぁ日常、有川浩 著/植物図鑑、東野圭吾著/新参者、冲方丁 著/天地明察、 小川洋子 著/猫を抱いて象と泳ぐ、藤谷治 著/船に乗れ、川上未映子 著/ヘヴン、吉田修一 著/横道世之介です。
その中から、4冊ご紹介しました。
 
主人公は会社勤めの「さやか」。
終電ギリギリの飲み会帰り、マンションのポーチの植え込みに、大きな黒いごみ袋をみつけます。それは行き倒れた男性でした。
さやかが男性をつつくと意識を取り戻し、男は、「行き倒れています。お嬢さんよかったら、俺を拾ってくれませんか?噛みません。躾のできた良い子です。」と言います。
そこから、さやかとイツキ(ゴミ袋と間違われた男性)の共同生活が始まります。
ありえん!!って思うんだけど、胸がキュンキュンしてしかたがないんです。
よく、2人で散歩に言って食べられる草花を見つけて、家に帰って料理をするんだけど、それが羨ましくて、羨ましくて・・・。
本には、登場する植物の写真と名前、料理レシピも載っています。
とってもお得な一冊です♪♪♪
 
植物図鑑と同じ、カスヤナガトさんの装丁です。
主人公は、栗原一止。信州の地方都市にある病院に勤める青年医師です。
学童期から夏目漱石を敬愛し、「草枕」にいたっては、暗誦できるほど読みこんでいるので、栗原医師の話し方は漱石チックなんです。
この病院、一般診療から救急医療まで幅広い役割を果たす地域の基幹病院で、
「24時間365日対応」という看板を掲げているため、医師は瀕死の状態で診療にあたっています。
そんな、医師の過酷な状況を入れつつ、医師の何でもない日常をつづったものなんですが、最初は、くすくす笑いながら読んで、最後は号泣でした。
何で、あんなに泣けるんだ!?行間から、筆者のあたたかさがあふれているからかもしれません。とにかく、みんなに読んでもらいたい1冊です。
 
神様のカルテは、主人公の語り口が昭和初期だったけど、この本は、会話以外が昭和初期風です。昔のテレビ番組のナレーションを聴いているみたいなの。
物語は、主人公・横道世之介が新宿駅東口の駅前広場をふらふら歩いているところから始まります。
なぜふらふらか、肩にかけているかばんが重いから。中には、高校の卒業アルバム、着古した学校のジャージ、土台が大理石でできた、とっても重い置時計が入っています。なんか、必要ないものばかりが入っているんだけど・・・。
そんな頼りない横道世之介の日常を描いたもの。
入学式に遅刻し、どういうわけかサンバサークルに入り、とっても風変りな資産家のお嬢さんとつきあうことになったり・・・・「世之介しっかりしなさい!」と母親のように叱りたくなる連続なんだけど、最後は涙ですよ。いい本でした。
  
人気の加賀恭一郎が主人公のシリーズです。
この本、9章まであります。
日本橋の一角で一人の女性が殺されるという事件が軸にあるのですが、
日本橋の商店街の住人を中心に、各章ごと話が完結する仕組みになっているんです。
そして、最後の最後に、軸になっていた殺人事件が解決すると言う流れ。
「あぁ、この方法があったか!」と、読んでいて「やられた!」って感じでした。
しかも、各章とも加賀恭一郎の着眼点が面白い。
その面白さって、私たちも見ているんだけど、見逃していることなんですよね。だからなおさら、面白い!!そして悔しい!!
テーマは、「人情」だから、ほろっとくるものもありますよ。

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