2009年12月14日月曜日

由佳の本棚(12月)

 
毎月第2月曜日にお送りしている「由佳の本棚」。
岡山市のNTTクレド岡山ビル、4階と5階の紀伊国屋書店を歩いて、気になる本を見つけ、その本を読んで、紹介するコーナーです。
今月も4冊ご紹介しました。


【石田衣良 著/チッチと子】
石田衣良さんご自身が、自分のことを描いているとおっしゃっていた小説。
なんだか、じんわりと涙が出てくる作品でした。
主人公は、売れない小説家・青田耕平。
作家や編集者からの評価は高いものの、10年間、本が増刷されていない地味な作家。
4年前、妻を交通事故で亡くし、小学生の息子・カケルと二人暮らし。
耕平とカケルで、「チッチと子」です。
息子の気持ちが分からなくなったり、小説が書けなくなったり、
女性からのアプローチがあったり、直木賞ならぬ直本賞のノミネート作品になったり、 親子の日常+作家の裏側を知ることができる1冊。
登場人物のせりふの中に、石田さんの感謝の気持ちが隠れています。
 
【湊かなえ 著/贖罪】
主人公は、日本一空気がきれいな町とうたわれている田舎で少女時代を過ごした4人。
4人が小学生の頃、町に精密機械工場が建ち、都会人が多く住むようになります。
田舎で育った4人と仲良くなったのは、人形のように美しいエミリちゃん。
仲良し5人組でバレーボールをしていたところ男に声をかけられ、エミリちゃんは帰らぬ人となります。
物語は、エミリちゃんと一緒に遊んでいた女の子が、どんな人生を送ったか、なくなったエミリちゃんの母親の言葉で、どう人生が狂い始めたかが描かれています。
人間の残虐さにここまで気付ける湊さんってスゴイ。そして衝撃の結末。
湊かなえさんの作品は心が凍ります。
  
【森見登美彦 著/宵山万華鏡】
万華鏡のような装丁を見て、思わず手に取りました。
祇園祭でごった返す町の片隅で、小さな出来事が起きます。
その出来事は、ぞっとするようなものだったり、腹が立つものだったり、笑えるものだったり・・・宵山を舞台にした短編連作集です。
森見登美彦さんの本の魅力は、行間からにじむ豊かな色彩。
本を読んでいるうちに、いつの間にか頭にその情景が色彩を含めて浮かんでくるんです。
無理して想像する必要は全然なくて、いつのまにか頭の中で動いている。
こんな小説、いままで経験したことなかったから面白かった。
その頭に浮かぶ映像が、また奇想天外なところが面白い!!
祇園祭に行くのが怖くなったけど、面白いので読んでみて!!
 
【三宅裕之 著、/毎朝1分でリッチになる】
ずばり、お金持ちになれそうな気がして読みました。
読み終わった感想は、お金は増えなかったけど、心が豊かになったような気がする。
さぁ、1分でできるリッチ方法、どんなことが書いてあるか紹介しましょう。
“朝の週間で一日をリッチに始める”編では、
▼起きたらまず、玄関を一番水で掃除する▼毎朝、鏡を磨く▼「いただきます」に15秒かける▼休日も平日も同じ時間に起きる、などがありました。
これが、実行してみると、実に気持ちがいいんです。影響されすぎ!?
全部で116項目あるので、そのうちの10項目はできそうじゃないですか?
なんとなく、生活が豊かになりますよ。
騙されたと思って、本を手にとって実行してみてください。
 
このほか、番組では紹介できませんでしたが、左の本も読みました。
「東大生が選んだ一冊」、私が読んだ作品もたくさん入っていました。
ようは、その本を読んで、どう活かすかなんですよね。
もう受験はしないけど、他人が読んでいる本が大変気になる私には、楽しい本でした。


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